健康づくりに果たす豆の役割

豆は不足しがちなビタミンを補う

ビタミンは微量であっても、体の健康維持に欠かせない重要な栄養素です。特にビタミンB1は、炭水化物をエネルギーに変換する際に必要な栄養素であり、不足するとエネルギー代謝に支障をきたす可能性があります。しかし、最近の調査では、多くの人々が推奨される摂取量に比べてビタミンB1を不足気味に摂取していることが示されています。特に若い世代は、糖質の多い飲料を好んで摂取する傾向があり、その影響でビタミンB1の不足が顕著です。

ビタミンB1の1日当たりの摂取量と食事摂取基準の推奨量との差は、小学校高学年から中高年に至るまで、総じて0.3〜0.4mg程度です。幸いなことに、農林水産省・厚生労働省が作成した「食事バランスガイド」に基づくと、副菜1つ分に相当するいんげんまめ(ゆで)70gを追加することで、豆由来のビタミンB1が0.13mg摂取できます。これにより、1食当たりの不足分をほぼ補うことが可能です。かつて、日本人は精白米に不足するビタミンB1を豆で補う伝統がありました。

さらに、豆にはビタミンB1だけでなく、エネルギー代謝や物質代謝に不可欠なビタミンB2やB6なども豊富に含まれています。そのため、豆は不足しがちなビタミンを補給する重要な食品源として役立ちます。豆を積極的に食事に取り入れることで、バランスの取れた栄養摂取が促進され、健康な生活をサポートします。

豆は不足しがちな各種ミネラルをまとめて供給する

ミネラルは、体の機能の維持・調節に欠かせない栄養素です。体に必要なミネラルにはさまざまな種類があり、必要量はそれぞれ微量ですが、不足すると様々な症状が現われます。

カルシウム

日本人に不足している栄養素の代表的なものは、健康な骨や歯を維持するために不可欠なカルシウムです。豆類や納豆、豆腐などの豆製品は、カルシウムが豊富に含まれている代表的な食品です。これらの食品は、カルシウムの摂取源として特に重要です。

最近の調査によれば、カルシウムの1日当たりの摂取量と食事摂取基準の推奨量との差(不足分)は、中学生から中高年に至るまで、総じて200〜300mg程度となっています。

赤血球の構成要素として、体内で酸素を運ぶ役割を果たす鉄も、吸収率が低いために欠乏しやすい栄養素です。特に女性は生理現象や妊娠、出産などにより、鉄欠乏がより顕著になりやすいです。鉄の1日当たりの摂取量と食事摂取基準の推奨量との差(不足分)は、男性では18歳未満の各年齢階層で1〜4mg、女性(幼児を除く)では3〜8mg程度となっています。

カリウム

日本人は食塩相当量の過剰摂取傾向があるため、ナトリウムの排泄を促して血圧を下げる働きがあるカリウムを積極的に摂取する必要があります。しかし、男女ともに特に10歳代後半から40歳代までの年齢階層でカリウム不足が顕著です。この年齢階層の最近のカリウムの1日当たりの摂取量(平均値)と食事摂取基準の目安量との差(不足分)は、男性では400mg前後、女性では100〜150mg程度です。

食事摂取基準では、カリウムに関しては、生活習慣病の発症を未然に防ぐ一次予防の観点から当面の目標とすべき1日当たりの摂取量として「目標量」も設定されています。前記の年齢階層では、男性で600〜860mg、女性で600〜750mg程度の目標量が示されています。

亜鉛

たんぱく質の合成や細胞の新生に関与する亜鉛は、欠乏すると抜け毛、肌あれ、爪の障害などの症状が現れます。特に10歳代後半以上の女性において欠乏傾向が見られ、最近の1日当たりの摂取量(平均値)と食事摂取基準の推奨量との差(不足分)は2〜3mg程度となっています。

豆類の摂取は、このようなミネラル不足に対する効果的な対策となります。例えば、「食事バランスガイド」における主菜1つ分に相当する納豆1パック(40〜50g)または副菜1つ分に相当するいんげんまめ(ゆで)70gを使用した料理には、カルシウムが約40mg、鉄が約1.4mg、カリウムが約300mg、亜鉛が約0.8mg含まれています。普段の食事にこれらの豆類を追加することで、これらのミネラルの不足分を効果的に補うことができます。

豆は食物繊維不足に応える

食物繊維は、抗便秘作用や血清コレステロール値及び血糖値の改善効果があり、肥満防止や心疾患、動脈硬化症、糖尿病、腸疾患などの生活習慣病予防に効果があることが明らかにされています。食物繊維の十分な摂取は生活習慣病予防対策の重要な要素とされ、食事摂取基準でも生活習慣病の一次予防を目的とした「目標量」が設定されています。

日本の伝統的な食生活では、食物繊維は十分に摂取されていましたが、近年の食生活の欧米化に伴い摂取量が減少傾向にあります。中学生以上の年齢階層では、男女ともに1日当たりの摂取量(平均値)が食事摂取基準の目標量を下回っており、その差は2〜7g程度となっています。

このような現状のもと、多くの食品の中で最も効率的に食物繊維を摂取できる豆類を毎日の食事に積極的に取り入れることが重要です。上記の食事摂取基準の目標量と実際の摂取量(平均値)との差を豆で解消するには、例えば、ゆでた金時豆1粒には約0.22gの食物繊維が含まれていますので、1日に9〜32粒(15〜52g)程度を追加的に摂取する必要があります。

豆のポリフェノールが持つ抗酸化力に期待

体内で発生する活性酸素を除去し、健康に悪影響を及ぼす可能性がある抗酸化成分の積極的な摂取は、生活習慣病予防の観点から重要です。この摂取は、血中コレステロールの低下や高血圧の予防など、健康増進効果が期待されます。

豆には、強い抗酸化活性を示す種や品種があり、その主要な源泉は各種ポリフェノールです。近年、米国農務省(USDA)により種々の食品の抗酸化力測定結果のデータベースが作成され、豆類がナッツ類やベリー類、赤ワインなどとともに最も抗酸化力が強い食品群の一つであることが明らかになっています。このことから、豆のポリフェノールによる健康増進効果への期待が高まっています。

ただし、抗酸化活性測定値の高低と人間に対する健康増進効果との間には必ずしも明確な相関関係があるわけではないとの指摘もあります。そのため、豆のポリフェノールについても、個別具体的な健康増進効果のさらなる解明が待たれます。




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