「遺伝子組み換え」と聞くと、少し専門的で複雑な印象を持つかもしれません。
しかし、実は私たちの暮らしに深く関わる身近な技術です。
1. 遺伝子組み換えって、何?
遺伝子組み換えとは、ある生物が持つ優れた性質の遺伝子を、別の生物に組み込む技術です。
たとえば、病気に強い遺伝子を植物に組み込んだり、特定の成分をたくさん作り出すように改良したりすることで、農作物の生産性向上や新しい機能を持つ食品の開発を目指します。これは、何千年もの間、人間が行ってきた「品種改良」を、より精密かつ効率的に行うための現代的な手法と言えます。
2. 日本で遺伝子組み換え作物はつくられているの?
結論から言うと、日本では食用目的の遺伝子組み換え作物の商業栽培は、現在行われていません。
これは、「カルタヘナ法」(正式名称「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」)という法律に基づき、生物多様性への影響を厳しく審査し、安全性が確認されたものだけが栽培できることになっているためです。
このため、スーパーなどで「国産」と表示されている大豆やとうもろこしは、遺伝子組み換えではありません。
3. じゃあ、遺伝子組み換え食品はどこから来るの?
日本で流通している遺伝子組み換え食品のほとんどは、海外からの輸入に頼っています。
特に、アメリカやブラジルなどから輸入される大豆やとうもろこしは、遺伝子組み換え技術を用いて栽培されたものが多く含まれています。これらは、主に食用油、醤油、コーンスターチなどの加工食品の原料や、家畜の飼料として使われることがほとんどです。
4. 食品表示をチェックしてみよう!
日本では、遺伝子組み換え作物が使われている食品に対して、表示の義務があります。
・「遺伝子組換え」:遺伝子組み換え作物が使われている
・「遺伝子組換え不分別」:分別されていないため、遺伝子組み換え作物が混ざっている可能性がある
・「遺伝子組換えでない」:非遺伝子組み換えであることが確認されている
これらの表示は、消費者が商品を選ぶ際の重要な情報源となります。
5. 遺伝子組み換え食品の安全性は?
現在、日本国内で流通が認められている遺伝子組み換え食品は、国の機関が安全性について厳格な審査を行っています。科学的な見地からは、適切に管理された遺伝子組み換え食品は安全であるとされています。
しかし、人によっては「なるべく自然なものを食べたい」という考えから、非遺伝子組み換え食品を選ぶ方もいます。表示を確認し、ご自身の考えに合った食品を選ぶことが大切です。